|

最もよく出題される、
塩酸+アルミニウム → 水素 + 塩化アルミニウム
について、考えてみましょう。

このように、塩酸の量を変えずに、 アルミニウムの量をどんどん増やしたときの、 アルミニウムの量と、発生した水素の体積のグラフは、 どのようになるか考えてみてください。

まず、アルミニウムがないときは、水素は発生しませんね。 ですから、0の点からグラフは始まります。

アルミニウムをふやしていったら、 発生する水素の量も増えていきますね。 ですから、このようになっていきます。 でも、途中でグラフは折れ曲がってしまいます。 なぜか?

それは、もう塩酸を使い切ってしまったからです。 塩酸がなくなったら、もうアルミニウムを加えてもむだですね。 アルミニウムがあまってしまいます。

はじめのかたむいている方は、まだアルミニウムが少ない、つまり塩酸があまっていて、 あとの水平な方は、もうアルミニウムがあまっている方です。 このことを、丸暗記ではなくしっかり理解するようにしてください。

特に大切なのは、グラフの折れ曲がっているところです。 このときに、アルミニウムと塩酸がぴったり反応しています。 アルミニウムも塩酸もあまっていない状態です。 このときの状態を式にして解く計算問題も出題されます。

次に、アルミニウムの量は変えないようにして、 塩酸の量を増やしていったときの、 塩酸の量と発生する水素の体積の関係を、 グラフに表してみましょう。 塩酸を加えないときは水素も発生しないので、 グラフはやはり0から始まります。

塩酸の量を増やしていくと、発生する水素の量も増えていきますが、一定の量であるアルミニウムがなくなってしまうと、もう水素は発生しません。ですから、グラフが途中で折れ曲がります。

では、塩酸の量は変えないようにして、 アルミニウムの量を増やしていくと、残った固体の重さがどのように変わっていくかをグラフにしてみましょう。

アルミニウムがなかったら、ビーカーの中は塩酸だけ。 塩酸+アルミニウム → 水素+塩化アルミニウム という反応が、どんどん進みます。 ですから、水を蒸発させると、塩化アルミニウムという固体がどんどん残ります。

塩酸とアルミニウムがちょうどぴったり反応したとき、 塩酸もアルミニウムも残っていません。 もっとアルミニウムを加えていくと、 加えたぶんのアルミニウムが残ってしまいます。 アルミニウムという「固体」が残っていくので、

グラフは(ゆるやかにはなるけれど)さらに上がっていくことになります。 折れ曲がってからあとの、固体が増えたぶんは、すべてアルミニウムであることにも注意しましょう。

「塩酸が一定」ではなくて「水酸化ナトリウムが一定」ならば、ちょっとグラフは変わってきます。 というのは、アルミニウムをまったく加えないときは、ビーカーの中には水酸化ナトリウムが入っています。水酸化ナトリウムは、塩酸とちがって「固体」ですから、水を蒸発させると「水酸化ナトリウム」が出てきます。つまり、グラフは0からではなく、途中から始まることになります。注意しましょう。

では、アルミニウムの量は変えないようにして、 塩酸の量を増やしていくと、残った固体の重さがどのように変わっていくかをグラフにしてみましょう。

塩酸を加えないときには、ビーカーの中はアルミニウムだけが入っていますね。アルミニウムというのは固体です。ですから、グラフは0からは始まりません。途中から始まります。

塩酸を加えていくと、アルミニウムは塩酸にとけてなくなっていきますが、かわりに「塩化アルミニウム」という固体(ビーカーの中にあるときは水にとけていますが、水を蒸発させると出て来ます)ができてきます。よって残った固体は増えていきます。 でも、ぴったり反応してからは、それ以上塩酸を加えても塩酸があまるだけ。塩酸は気体が水にとけたものですから、固体の量は増えません。
|