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 私たちは中学受験を応援します! - 中学受験のヒント集 -

 まず、指導現場で感じていることを列挙してみます。この仕事に従事している方は、どなたも程度の差こそあれ、感じていらっしゃることと思います。

  1.バブル崩壊後の価値基準の喪失
  2.文部省(文部科学省)推進の学力崩壊政策の実現?!
  3.長期不況による教育費の引き締め
  4.子どもたちの変質

塾という現実の指導現場で、上の四点がどう出ているかを次に示します。

  1.は、既存の「高い学力・学歴=高収入」という枠の崩壊という形で現れました。2.3.と相まって、「そんなに勉強して、いわゆるよい学校へいってどうなるのか」という考え方(無力感?)、逆に「こういう時代だからこそ、真の学力を身につけさせなければいけない。時代が変わっても、変わらない学力というものがあるはずだ。」という考え方に分かれているのではないでしょうか。学校側でも、某私立中高校の校長先生が「君たちは未来からの留学生、私たちが指導することは…」と発言されているのを聞きました。「未来からの留学生」聞こえのよい言葉です。おもねているのではと勘ぐりたくもなります。しかし、実際は学校の機能のうちの学力向上、「高い学力=将来の安定」という価値基準が、崩壊し次にどういう基準を提示できるかという点で、この方は自信喪失していらっしゃるのだと思います。学校のトップがそうなんですから、ましてやご父母のなかに我が子をどうしたらよいか、迷う方がいらしても無理はありません。

「流行不易」ということばがあります。わかりやすく言うと「時代の変化とともに変わる部分と変わらない部分」とでもなりますでしょうか。私立学校でも、時代のニーズにあった学力形成、それと時代の変化にはかかわらない基礎学力等の養成があると思います。

  時代のニーズは「パソコン」などのツールであり、「グローバル化」に対応できる人材育成でしょう。さけて通れないものです。中には、「グローバル化教育は、学校のウリにならないな」という校長先生がいらっしゃいました。学校の受けねらいで教育方針など変えられたら、たまりません。また、ウケないからといって必須の事柄を指導されないのでは、困りものです。さらに先ほど例に挙げた方は「グローバル化はアイデンテティーの喪失につながるから」と、続けられました。ずいぶん前から、外国と交流すればするほど自国の歴史・地理などの教養が必要となることが、指摘されているという基本的なことを失念しています。こういう方がトップである私立学校の現場の先生方はさぞご苦労されていることと想像しています。

さて、不易の部分は、「創立の精神」のことが多いのではないでしょうか。もちろん「創立の精神」とそのときの時代背景・創立者の生き様など関係の深いものでしょう。しかし、精神の本質的な部分は時代を超えて受け継がれていくものだと思います。

2.の部分は、塾という指導現場では、ここ数年目の当たりに突きつけられています。学級崩壊ということばをきいて久しいですが、この普遍化・恒常化が進行しているように思えます。集団での指導には、受ける側にもルールがあります。「話を聞く」「テキストを開く等指示に従う行動」など、ごく基本的な授業をうける姿勢がとれない生徒が急増しています。小学校における、低学年時の体制作りができない(しない)せいだと思われます。集団での行動規範が植え付けられていないと思われます。家庭でのしつけの問題もあるでしょうが、それだけではないようです。

 さらに具体的には、私語はいけないことだという認識がない。人前で大あくび・おならなどエチケット違反であることなど認識していない。   塾では、この「しつけ」からスタートしなくてはならない。以前より学習以前の負担が増しています。そこで、私立中・高等学校では、なんら表面化していないのだろうか。私立中・高等学校には学級崩壊は存在しないのだろうか。素朴な疑問があっても当然でしょう。 この点情報開示が進んでいる学校がご父母の信頼を得るのは当然のことだと思います。

 また、「読み・書き・そろばん(計算力)」という寺子屋の時代から、必須とされてきた基礎学力が脆弱になっています。「識字率が下がっている」と笑えない冗談を言う方もいらっしゃいました。その点読書などの指導が徹底している私立学校の存在は、小論文対策ということとはべつに心強いものがあります。

 3.は、いろいろな塾さんからお聞きしますと負担増のため退塾、学校関係者からお聞きすると公立へ転校という生徒さんが近年増えているとのこと。私学ではなんらかの支援体制をとっている学校があるようです。見える形でより推進していただきたいものです。

 4.は2.の学力崩壊と軌を一にしています。「公への反逆」などと指摘する方もいらっしゃいます。公衆道徳などという言葉が死語となるのでしょうか。以前はカンニングなど、ごく少数の生徒がすることでした。いまは、見つからなければ平気。落とし物は、見つけた人のもの。ルールは自分に都合のよいものだけ受け入れるという、自己中心的なタイプが一般化しています。

 また、「考える力」の育成という旗印とは反対に、ものを考えられない生徒が多数です。刹那的・感情的なものには瞬間的に反応しますが、理論的に推理してく力は、十数年前の生徒と比べて劣っていると感じられます。客観的なデータのない経験からの感想ですが、理科・算数などご指導の先生方は、痛感されていることと思います。 私学で近年急速に進学実績を伸ばしている学校があります。これらマイナスの要因をどう払拭し、大学受験という場で実績を伸ばしているのか知りたいところです。 手前味噌ですが、JUKU21世紀の会では「伸びている私学のキーワード」を公開していただこうという企画を進めています。

次に、ご父母側の変化と私学という観点からみてみましょう。

・学校選択基準の変化
ご父母と接していて私学をどう見ているか教えられることが多々あります。受験校の選択要素として
 立地、共学・女子校・男子校、進学校、
 付属校、校風 宗教(キリスト教、仏教 その宗派)
 教育体制(システム、習熟度別、カリキュラム、シラバス)
 施設(パソコンなど視聴覚、屋内プールなど体育施設)
 進路(合格実績) 難易度、試験科目、日程 制服、諸先輩(在校生の)様子・態度など
 説明会における校長先生の話、諸先生の感じ(雰囲気)、指導姿勢、 ネームバリュー などなど

選択要素は、非常に多く、選択基準(いろいろな尺度)が多様化しております。伝統校などの知名度、偏差値優先などから変化してきていると思います。学校の実体を見て、自分ではなく自分の子供にあった学校選択を心がけるようになってきているように思います。

 上記の要素の中で、説明会と在校生の印象のウェイトが高いようです。
「在学生は私学の歩く広告塔」といえましょう。

・受験パターンの大きな変化
  これは各学校の入試日・入試科目の変更等から、必然的に促されたものでしょう。私学の受験のし易さ・生徒の囲い込み策などがありますが、受験生を多く集めるためだけの小手先の対策はとらずにいてほしいものです。短期的には効果があっても、中長期的にはレベル低下をもたらします。
  入試結果の即日発表は、「功罪相半ば」というところですが、ダブル出願の増加・短期決戦型へと変わってきました。
  長期的には、本質的な「学校の存在意義とは何か」を考えているところが生き残っていくのだと思いたいものです。

  ◎中学受験を応援する
 人生の半分以上を、この仕事に従事してきました。供給過多の今日、次のように思い始めました。
この言葉には受験する生徒を応援する。私立の中高等学校を応援する。二つの意味がありますが、前者は塾として当然のことです。後者は「がんばる(存在理由のある)学校を応援する」のだと。
塾は、否が応でも頑張っています。
私は頑張る私学を、中学受験生を応援します。


【プロフィール】 永瀬 喜文
略歴 北海道出身、早大在学中から日本進学教室で受験指導。その後独立。
中学受験指導一筋に30年のキャリア。 優学習会 塾長 JUKU21世紀の会幹事

2001月5月号塾ジャーナル掲載記事より

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 入試過去問の学習方法 - 中学受験のヒント集 -

=過去問をどう するか、させるか!?=

「過去問」は塾でする勉強とやや違い、家庭で取り組むことの多い教材。それだけに親のかかわり方次第で成果は大きく違ってきます。わが子にどうやらせたら、いちばん効果的か、考えてみたいと思います。

■なぜ過去問をするのか?
 「過去問」とは、各学校でこれまでに出題された入試問題のことです。入試問題だから同じ問題が再び出題されることはありません。ひょっとしたら来年は出題傾向が変わるかもしれません。それなのに、なぜ「過去問」をする必要があるのだろうと、疑問に思っている方もいることでしょう。
 入学試験は、学校側の「うちの学校には、この程度の問題は解ける生徒に入学してほしい!」というメッセージなのです。受験生が目ざす志望校に合格するためには、学校側の発進するメッセージに応えなければなりません。
 試験日まで、限られた時間しかありません。ただやみくもに勉強していればよいというものでもありません。この残された時間を有効に使うためにも、受験する学校の出題傾向を知り、問題形式に慣れておくこと。これが、何にも優る受験必勝作戦なのです。
 さて、出題傾向が急に変わった場合に、そのせいで大きく崩れて残念な結果となるケースがあります。しかし、条件は受験生全員同じですから、少々不思議な気もします。では、どういうことでしょうか。
 「過去問へ対する思い込みがはげしい」
ことが考えられます。形式、問題量などこうだと決めつけていたが、ふたを開けてみると違っていたので精神的な動揺が試験全体へ悪い影響を与えたということです。
 ですから、出題形式・難易度などに慣れることは絶対必要なのですが、過度になってはいけません。いずれにせよ条件は受験生全員同じだと冷静になれる精神力が必要だといえましょう。

■出題傾向を知り、問題形式に慣れる
 いくら実力があったとしても、本番の入試で自分の持てる力を十分に発揮できなければ、合格を勝ち取ることはできません。「過去問」をやることにより、学校ごとの出題傾向を知り、自分の弱点を補強しておくことが是非とも必要です。また、受験する学校の問題形式に十分に慣れておけば、試験当日も落ち着いて問題に取り組むことができ、実力以上の力を発揮できることでしょう。
 麻布・武蔵・栄光などのように、試験問題に際立った特色を持つ学校を受験する場合には、2学期のできるだけ早い機会に過去問をやり、その学校に即した受験勉強をする必要があります。
 これらの学校ほど顕著ではなくても、学校それぞれに、問題の構成や配列をはじめとして、試験時間のわりに問題数が多いとか、自由記述や条件記述の問題が出るなど、さまざまな出題傾向や問題形式の特色が見られます。

■ねらいは出題傾向を知ること
 2学期に入って行われる四谷大塚、日能研、首都圏模試などの合否判定テストで、1回でも合格可能性60%以上という結果が出たならば、過去問にとりかかっていいでしょう。
 この時期に過去問をやるねらいは、その学校の出題傾向を知ることにあります。
 市販されている問題集には過去5~10年分掲載されていますが、一度にすべてをやるよりは、数年分ずつ第三志望→第二志望→第一志望と順を追う方がよいと思います。
 その具合で、以後の方針を立てます。
 第三・第二志望校の問題で苦戦している場合は、ここをしっかり固めるか、他校へと大胆に切り替えるか…。
 第三・第二志望校がほぼ大丈夫であれば、残り時間は、第一志望校攻略に全力を傾けることです。

■制限時間を意識して解く
 この時期、時間の使い方がまずい場合には、塾の基本ラインの学習に時間を取られなかなか過去問をやる時間が取れないかもしれません。塾のない日や塾に出かける前の時間を活用し、1教科ずつでも進めましょう。基本ライン+過去問ですので、どちらも大切です。バランスを。
 過去問に取り組む際は、ただダラダラとやるのではなく、実際の試験の制限時間を意識して行います。試験時間が50分なら、時計できちんと50分を計って挑戦しましょう。もしその時間内でできなくても、問題は最後までやりとおします。
 制限時間にできるのが理想ですが、あまりこれにこだわる必要はありません。大事なことは、50分なら50分の長さを体で知るとともに、その学校の出題傾向を知ることにあるからです。

■ミスした問題は必ずやり直す
 過去問はやりっ放しにするのではなく、ミスした問題は必ずできるようにしておくことが大切です。この積み重ねが、合格へとつながるのです。
 問題集にある出題領域の分析表を利用し、できなかった問題の領域に×印をつけておくと、不得意な分野がはっきりしてきます。そして、不得意だと思われる分野の類題を、全国版や首都圏版の入試問題集の中から拾い出し、徹底的につぶしていくのも、有効な方法です。
 また、年度別にやるのではなく、教科別にやる方法もあります。教科ごとに3年通すと、その学校の出題傾向や分野がより一層明らかになります。

■答え合わせは親がチェックする
 過去問の答え合わせは本人がしてもよいのですが、解答の主旨があっているかどうかの判断は子供には難しいので、お父さんやお母さんがチェックしてあげるのがよいでしょう。
 なお、どの問題集を使っても問題は同じですが、解答にはくい違いが見られます。これは学校が解答を発表しない場合、出版社が独自に解答を作成しているためです。記述問題では、あくまでも一つの解答例にすぎないと理解した方が良いでしょう。
 特に自由記述の模範解答は、大人の専門家が書いたものですから、すばらしいものとなっています。それに似た内容と書き方をするのは受験生にとって難しいものがあります。まず内容的に同一であるか、次に表現が読み手に伝わるかがポイントです。

■本番の入試でよい得点を!
 配点は非公表になっている学校がまだ多いので、答え合わせをしても、自分の正確な得点を知ることは困難です。特に、記述問題では、中間点を与える学校が多いので、得点の計算は難しくなります。問題数にして、おおよそ何%くらいできたかが把握できれば十分でしょう。出版社によっては予想配点が書かれていることがあります。参考にしてください。予想と銘打っていますのでその点を忘れずに…。
 答え合わせをした結果、その年度の合格最低線(%に換算して)に届かないことが多いかもしれませんが、秋の段階では気にすることはありません。要は、できなかった問題を完全に自分のものにし、本番でりっぱな答案が書ければよいのです。徐々に難度やパターンに慣れて、得点が上昇するものです。
 しかし、合否判定テストの合格可能性が50%前後で、しかも出題傾向が合わないような場合には、志望校を再度検討してみる必要があります。

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 YTネットの活用 - 中学受験のヒント集 -

■YTネットとは?
 四谷大塚進学教室主催のテスト会です。通常の塾に通っていて業者のテストをプラスするという感覚です。一般に塾向けのテスト業者のテストでは、母集団が少ないために判定が正確に出しにくいという弱点があります。YTネットは、歴史がある四谷大塚主催ですから、その点が解消されています。また、定評あるテキスト類とセットで提供されていることも大きな特徴です。メイン教材「予習シリーズ」は、中学受験のバイブル的存在です。
  他の進学教室では、「平日授業+日曜(土曜)テスト」がセットとなっています。そこから疑問に思う方が、いるかもしれませんが、歴史的にはYTのパターンが本流です。
  これについては、タイトルが少々オーバーですが進学教室の歴史をお読み下さい。

■テスト会利用のメリット
1,学力を知る
 毎週の学習の成果を知ることができます。一週ごとの学習範囲の達成度が客観的に把握できるということです。模擬試験は、大規模な集団の中で行われますので、さらに位置づけがわかり、そこから志望校合格の可能性を知ることができます。

2,学習の励みとなる
 小学生には、毎週学習する意義がわかりにくい場合があります。そのときに、毎週区切りとしてテストがあると、短期的な目的(目標)として機能します。また、学習した以上これを試したいと思うお子さんがいらっしゃるのは当然です。競争心が旺盛なお子さんは、順位を競うという学習目的が生まれます。
  どの程度学習すれば、どれくらいの成績がとれるかということがわかれば、自己管理の助けともなります。

3,試験慣れする
 出題形式という点では異論があるのは事実ですが、とにかく「学習」と「試験での得点」が一致しないケースは、小学生ではよくあることです。これを解消するには試験形式の学習をする以外にありません。
 学習している段階ではわかったつもりでも、いざテストとなると得点できないケースです。これについては、別途説明する機会があると思います。

■テスト会利用のデメリット
1.結果を必要以上に気にする
  どうしても試験結果が気になるものです。それを(過度に)追いもとめるとお子さまをつぶす(学習意欲減退)危険性を伴います。受験ですから、親子に緊張関係があるのは当然ですが、親子関係が(程度が凄いことを表す修飾語がはいる)悪化するなどです。
  また、点数をとることのみに学習がかたより、学習の本質からはずれることもままあります。
  その場合は、「毎週の単元回の成績はよいが、総合回になると成績ががくんとおちる」「5年生での成績は良かったが、身についていなくて6年生になると急降下する」などとなることがあります。ことの本質理解からテストのための学習と変質してしまうからです。

 2.あきらめにつながる
  生徒によっては、励みとなるはずがまったく逆の結果となることがあります。自分の実力を知ることは良いことですが、100%実力を出し切らないうちに「自分はこの程度」と満足しあるいは自信喪失し、向上心を失う生徒がいます。YTなどテスト会のテストがどうしてもお子さまを「序列化」する性質をもっているため、その試練に耐えられない場合は諦念という形で出てきます。当然本人の性格などにも関係があるでしょう。
 本人が気力減退となる場合もありますが、保護者の方が「この子はこの程度」とさじを投げることもあります。後者は、問題があるといえます。

■タイプ別活用法
1.志望校から考える
 難易度が高い学校を志望している生徒の場合は、早めに開始するのが通例です。一般的に、向上心が高く競争心も旺盛なことが多いからです。

2.性格から考える
 前述のように、成績が悪いときに内にこもって悩んでしまうタイプは、遅いスタートの方がよいかもしれません。意欲を早い段階からなくしてしまうことは、持っている可能性を発揮しないこととなりかねません。
 1.で「競争心も旺盛」と書きましたが、逆説的に「競争心がない」タイプの場合も、競争心を生じさせるために早めに利用する方がよいでしょう。ただその場合は、「やらせていても張りあいがない」と親が思うときがあるでしょう。だが、そこでやめない方がよいです。継続は力なりと昔から言われているように、すぐには形にならなくとも、続けることによって体得することがあります。
 飽きやすく、なんでも長続きしない(というとすごく悪い表現なので)短距離走タイプの場合。小五の後半あるいは、新小六からのスタートがよいかもしれません。

3.まわりの影響
 ストレスがない、競争がないなどという環境は、人間の発達にはあり得ない環境ですし、逆によくないのですが、それも程度次第です。
 例えば、兄弟で学力に差が大きくあり、かつ競争があり言い合いなどが多い場合。親子関係もさることながら、兄弟で比較されることもストレスのもとですし、のちの人間関係まで左右しかねません。
 兄弟関係など良好なのがよいですが、不幸にしてそうでない場合は考え物です。
 また同様に、小学校などでの競争もあります。週報というものがあり、成績優秀者の氏名が掲載されます。それを見てのライバルへの対応などです。
 本来は、それらも乗り越えることが望まれますが…。

 いつから利用するかは、ケースバイケースといえますが、いずれにせよ入試はペーパーテストを受験するのですからその練習として、テスト会は必須だと言えます。

進学教室の歴史
 大正時代に日曜テスト教室が誕生しました。それが、日本進学教室です。当時は、いわゆる町塾の時代です。また、テスト業者もなかったはずです。その集合体としてテストのみを行う組織が誕生したのです。創始者は長谷川弥平氏でした。
 略称『日進』で、進学教室という名称も彼が初めて使用したのです。「進学教室=テスト会」だったのです。
 各塾の特色ある指導のもとで学習し、小六の一年間に競い合う場です。最盛期には、筑波大駒場(当時教育大駒場)の合格者の95パーセント以上がここの出身者でした。占有といってもよいで状態が長く続いたのです。

 次が、四谷大塚進学教室です。変な名前ですが、四谷と大塚にあった塾が始めたテスト会です。ただ、日進のマネをしていたころは、追いつき追い越すことはできませんでした。ここは、会員と準会員という2つにわけ、準会員はテストなしでその時その時の参加ができました。500円をにぎって受験しに行ったという話をいまだに聞きます。
 平日の授業もしていました。そのテキストを迫田氏が作成したのが、上昇のきっかけでした。それが「予習シリーズ」です。また、小学五年生からのスタートという中学受験の難化に対応したシステムも忘れるわけにはいきません。それと、合判テスト(模擬テスト)を外部性も受験できることでした。
 こうして五年生は四谷、六年からは日進のパターンが徐々に崩れていきました。

 一方神奈川県から隣接区部では、日本能率が勢力を伸ばし、分かれて神奈川県は「日能研」となりました。日吉で塾をしていたK氏が、その勢いにおどろきチェーン店として参加しました。日能研が2つあるというのは、このことです。学習指導と営業をシステム化したのが、その勝因でしょう。また、好戦的な体質もです(^_^)

 その後タップが日本橋に、分化したのがサピックスです。桐杏学園も、ありました。いや、まだあります。失礼!城北スクール、東に早友、千葉には市進。。。。。

 などなど、群雄割拠の状態でした。

  さて、中学受験の大手進学教室というと今や、四谷YTと日能研・サピックスとなりますか…。

  四谷大塚は、他の進学教室と違い、発生の時からの形態を維持し(人によってはひきずり)準拠塾(後に提携塾も生まれた)、四谷本体と準拠塾との連合体というものでした。それを、バブル期に引き離そうとしたのですが、その画策が四谷大塚の衰退を招いたのでした。準拠塾大手の栄光、学習指導会、早稲田アカデミーなどが背を向け始めたのです。
  分教室展開がうまくいかなかった四谷大塚は方針を大きくかえ、YTネットというテスト会として再出発しました。以前は、テスト屋として塾からは蔑視された側面がありましたが、逆にテスト会として教室指導はどちらかというと従という形です。
  また他に進学教室ではありませんが、個人指導が一定の地位を占めるようになってきました。中学受験には、これ(個人・個別指導)だけでは不十分と思います。これについては、また改めてふれることとします。

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 中学受験直前の仕上げ - 中学受験のヒント集 -

■直前の仕上げ
・健康に十分注意
 試験が目前にせまりました。なによりもまず、健康に注意しましょう。せっかくの努力が、風邪のために台無しでは目もあてられません。
 入試日、このときこそベスト・コンデションでのぞみたいものです。
 それには、まず規則正しい生活が一番です。もうすでに朝方の生活に慣れてきていますか。また、食事も朝・昼・晩と規則正しくとっていますか。栄養のバランスにも注意しましょう。

・復習中心で自信をつける
 この期間の学習は、欲張らないことです。試験が近付いてくると(いままでさほど勉強しなかった人でも)”あれもしなくては、これもしなくては”といらいらしながら勉強をしがちです。 しかし、時間が限られていますから、あせらずにいままで学習してきたことを復習しましょう。
 なにか復習教材を決めてやさしい基本的な問題をしっかり身につけましょう。 志望校の過去問にもう一度目を通すことも、効果的です。

・試験場へ行ってみる
 複数校を受験する人はたいへんですが、試験当日にまごつかないために、事前に必ず一度は出かけてみましょう。一緒に引率する方でも結構です。
 その時に、家からの道順や、かかる時間を、自分の時計で確かめ、電車・バスを利用する方は、時刻表を調べ、何時に家を出ればよいかを考えましょう。朝はラッシュにぶつかるうえ、天候によっては、交通機関が遅れることもあります。30分から40分の余裕をみることが大切です。

■前日・これだけはかならず
・持ち物のチェック
 持ち物は、前日に、必ず自分で、チェックしましょう。
 1.試験場で使うもの
  受験票(番号は必ず覚えておく)
  鉛筆(使いやすい長さの物)、消しゴム、下じき、えんぴつ削り(簡単なもの)、うわばき、時計など
  学校の指示があれば、定規、分度器、 コンパス、運動ぐつなども用意する。
 2.往復・休み時間に使うもの
  お金、ちり紙、ハンカチ、弁当など(まあ、弁当は前日には無理だが)
 3.鉛筆は、自分の手になじんだ長さの物を6本以上用意する。消しゴムも2~3くらい、用意する。
  腕時計もあれば安心です。デジタルよりアナログのほうがよい。
  また、念のために、受験票・学校の電話番号をメモしておくとよいでしょう。

・気分を楽にする
 準備ができたら、夜は早目に休みましょう。夕食はゆっくりと消化のよいものをとり、そのあとサーッとおさらいをやってもよいし、マンガなどで気をまぎらわすのもよいでしょう。気分を楽にすることがなによりも大切ですが、ただゴロゴロしないで、なんでもよいから頭を働かせていることです。

■当日・まごつかないために
・早目に起きる
 当日の朝は、早目に起きましょう。人間の頭は働きが活発になるには、起きてから2~3時間後です。朝御飯は、食べ慣れないものはさけ、ゆっくりととりましょう。食べたあとは、トイレに行くことも、絶対に忘れないようにしましょう。
 前日にそろえた受験票、筆記用具、さいふなどを、もう一度確かめましょう。
 朝、すこし寒そうだったら、小さなひざかけなどを用意してもっていくのもよいでしょう。また、セーターを重ねて着て行って、暑かったら脱ぐという方法もあります。
 面接のある学校を受験する方は、よそいきの服装をすると思いますが、何度か着て着慣れておきましょう。服装が変ると、変に緊張したり、興奮したりします。
 よそいきといっても過度に着飾ってはいけません。

・時間にはゆとりをもって
 試験場には30分くらい前につくようにします。これは試験場の雰囲気になれるのに役にたちます。時間ギリギリにかけこむようでは、よい答案を書けるはずがありません。
 友達同志で待合わせて出かけるときには、「7時××分までしか待たないよ」というように、あらかじめ時間を切って約束しておきましょう。

・試験場での注意
 試験場につきましたら、けい示されている注意書きなどに目をとおし、試験のある教室やひかえ室、トイレなどの場所を確認しておきましょう。 
 受験票を忘れたり、途中で落としたりした場合は、すぐ係の方に申し出ましょう。遅刻した場合も、同じです。本人であることが分かれば、再発行してくれますし、遅刻もある範囲内であれば受験させてくれるのが普通です。
 試験中、気分が悪くなったときは、事情により別室で休ませてくれたり、保健室で受験させてくれたりします。
 試験場では、係の方の注意をよく聞いていわれたとおりに行動しましょう。分からないことがあったら、質問し自分勝手に判断しないことです。
 試験の間の休み時間は、次の科目の勉強をしましょう。自分でまとめたノートや薄い簡単なまとめの参考書がよいでしょう。
 友人とあっても答え合わせはしないことです。また、他の人達の答え合わせが耳に入っても、気にしないことです。下手にあせると大変です。
 また、友達と廊下・校庭などで遊ばないことです。面接までの待ち時間に、はしゃぎ過ぎて、不合格になった人もいます。

■合格答案をつくるポイント
・ポイント1 受験番号・名前が先
 まず受験番号・名前を書きます。これが落ち着いて書けないようでは、あがっている証拠です。自分の名前を書きながら、気持ちを静めていくことです。
 また、記入らんは1つとはかぎりません。書き落としのないようにくれぐれも注意して下さい。答えが100点でも、受験番号・氏名がなければ0点となります。

・ポイント2 易しそうな問題から開始
 受験番号・氏名などを書いたら、ひととおり問題全体に目をとおします。そして、難しそうな問題を後回しにして、易しそうな問題から始めます。
 できそうな問題に「○」、難しそうな問題に「△」をつけるなどして、区別しておきましょう。試験の時間を50分として、問題全体に目をとおすのに2~4分、答えを出すのに40分、あとは問題を読返す時間とすればよいでしょう。
 問題文は少なくとも2回は読みましょう。
 読み間違えが多い人は、特に気をつけましょう。早ければよいと言うものではありません。

・ポイント3 よけいなことは書かない
 問題の答えは、きめられたところにはっきり書きます。答え方のミスなどは、致命的ですね。
 問題で要求されていることだけを書き、余計なことは一切書かないこと。たとえば(  )人とあって、(10人)人とするなどのことです。単位などのダブリは、×となったり減点されたりします。
 また、字のきたない人十分注意して下さい。読み間違えられると当然×ですし、入る気があるのかどうかと、疑われます。
 漢字指定でない問題場合、漢字の自信がなければ、ひらがなで書きます。ウソ字、アテ字は絶対に書かないようにしなさい。漢字の書取りの問題で、自信がない場合は、逆でとにかく書いておきましょう。

・ポイント4 答えは必ず読み返す
 答えを全部書き終わったら、必ず読み返してあやまりや書きちがいなどがないかどうかを確かめます。問題では「正しくないものを選び」とあるのに「正しい」ものを答えてしまうなどは、人によってよくあることですね。計算問題では、前に書いたように単位違いですね。
 時間の許すかぎり、何度も見直しましょう。答案を出す前に受験番号と氏名も書いてあるかを確認します。

・ポイント5 すんだ試験にくよくよしない
 自分で自信をもって書いた答えにあとから思い迷わないようにすることです。
 第1時限めの科目がいまいちだったとしても、次の試験から頑張ればよいのです。休み時間に友達と答え合わせをしたために、できなかったとわかり、次の科目でうまくいかなかったりしては、とんでもないことです。

■面接の上手な受け方
・面接の内容
 一番聞かれやすいのは「志望理由」です。あらかじめ解答を用意しておきましょう。
 そのときには、「校風がよい(あっている)ので」とだけでは、はっきりしません。どのようなところがどのようにあっているのかを、もう少し具体的に考えておきましょう。
 次に「近い(交通に便利)」ということを挙げる方もいらっしゃいますが、これは言う順番の二番目以降がよいでしょう。なぜなら学校側としては、いわれてもちっともうれしくない答えでありますし、「近くがいいのなら公立へいけばよいのに」という意地の悪い考え方もできます。
 同様に「制服」等も後です。「施設や環境」については、良い点がわかっていれば言うと良いでしょう。
 「併願校」の有無を聞かれた場合は、基本的には正直に話す事です。いまどき併願受験しないお子様は、ほとんどいらっしゃいません。
 ただし、一言「念のために、○○中学を受けます(受けました)が、こちらにお世話になりたいと思っています。」などとつけくわえるべきです。
 また、簡単に答えすぎるのもプラスにはなりません。例えば、「スポーツは、何をしていましたか。」と聞かれて、「野球です。」とだけ答えるよりは、「野球をしていました。ピッチャーで四番でした。」というほうが、次の話題として質問する方もしやすいし、印象も違ってきます。かといってべらべらしゃべる人はいないでしょう。
 すべり止めにされるのを当然学校はきらいますから、第二志望でもそのようなことを口にするのはもちろん、態度に表さないように注意して下さい。

・答え方
 ことばづかいに注意し、礼儀正しくするのはもちろんです。このときだけきちんと話そうとしてもなかなかできるものではありません。日ごろから注意しておきましょう。
 服装は、こざっぱりしたものをキチンと着て行けばよいでしょう。いかにも普段着は、やめましょう。派手すぎないことも注意します。
 質問される先生の目を見て、はっきりと受け答えしましょう。にらんではいけませんので、男性の先生の場合は、ネクタイを見るのも良いでしょう。

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 小六受験生秋からすべきこと - 中学受験のヒント集 -

■秋から11月にしておくこと
 1.志望校の過去問を練習する。
 
(1) 複数受験するとして難易度の低い学校の問題から練習しましょう。
 
(2) 年度は古いものから始めます。
 
(3) 繰り返し、何度も練習します。
 
(4) 一度目は時間を計って練習しましょう。
 
(5) 学校選びは、偏差値だけではなく、問題の出題パターンにもよります。学校選択の材料としましょう。
 2.学校説明会・文化祭にいってみる
 
(1) ご存知のように、各中学校で説明会が行われてます。できるだけ参加して本からだけではえられないデータを入手して下さい。
 
(2) 友達同志の噂で学校を選んでいる場合、実際に見てイメージとの落差を感じるお子さんがいます。早目に学校を見せて下さい。
 3.新しい入試制度を知る
 

 例年、数多くの学校で入試要項が変更となります。

■12月から1月上旬までにしておくこと
 1.受験校を決定する。
 
(1) 4回にわたる合不合テストの評定、平素の成績などで、お子様の実力を客観的にとらえ、決定の基準とする。「合格して欲しい」が「合格できるのではないか」というように変化しがちですので、客観的に冷静に心掛けましょう。
 
(2) (先生次第ですが)学校の担任の意見を参考にする。
 
(3) 2校以上受験する場合、高次な学校ばかりを選ばず、入学試験日の兼ね合いも検討しながら、確実に合格できる学校も考える。先に、入学するつもりのない学校は受験しないこととお知らせしましたが、作戦としては入学するつもりがない学校を受験することも有ります。(但し実際に受けることになるかどうかはその時次第です。出願だけで終わることの方が多いでしょう。)
 
(4) 知人や縁故関係の人たちの助力を全面的に頼みにし、合格を夢想するのは、失敗を招くことが多いのであくまでも実力次第とお考え下さい。
 
(5) 「中学入試合格は当面の目標ではあるが、また新しいスタートである。」ことを再認識し、入学後お子様が日々喜んで充実した学校生活を送ることのできる学校ということを念頭において接する。例えば、A中をスベリどめと軽んじていて万が一、そこしか行くところがなくなった場合どんな気持ちでA中に行くことになるのかといったことです。

 2.募集要項を入手する。(できれば入手したあと、下書き用として一部コピーをしておくとよい。)

 3.担任の先生に報告書をお願いする。(不要の学校もあります。)

 4.お子様の健康状態の再確認
 

 伝染性の眼疾・皮膚病など、この時期ではやや遅い感じもするが、もう1回調べておきたい。

 5.その他
 
(1) 出願書類に戸籍謄本が必要な場合、本籍地の役所から取り寄せねばならないので時間的な余裕を持っていられるようにしましょう。 
 
(2) 出願書類と一緒に、ほとんどの学校が上半身(胸から上)の写真を必要とするので、指定された大きさにあわせて、必要枚数を準備する。
 
(3) 夜遅くまで勉強して朝寝坊の習慣がついている人は、早寝・早起き型に改める。頭が働きだすには、起きてから3時間くらい必要です。大人と違って、体が適応するのに時間がかかるので朝型に直すのは早めにしましょう。それに、夜更かしは風邪をひきやすいものです。

■試験二週間前ごろから心がけること
 1.生活のリズムを入学試験日に合わせる。
 2.猛勉強はやめて、体の休養を第一に考える。ただし、程々の学習は頭の運動として前日まで続ける。
 3.風邪などひかぬよう、健康管理をしっかりすること。
 4.家庭内があまり神経質にならぬよう注意する。

■試験前日にしておくこと
 1.試験に必要なものを揃える。
 
(1) 筆記用具……鉛筆7~8本(赤・青の色鉛筆もいれておく方がよい。)けしゴム(3個は用意する),定規,指定されたところはコンパス・下じき(無地)
 
(2) 受験票類
 
(3) 指定されたところは胸の受験番号札。
 
(4) 身体検査を行うところは、衣服をいれる名を書いた袋など。
 
(5) 指定されたところは上履き。
 
(6) 衣服・靴などに名を書く。さっぱりとした服装を準備した方がよい。
 2.早めに床につき、睡眠を十分とること。

■試験当日の注意
 1.起床から試験場まで
 
(1) 試験が開始される三時間前には起床する。
 
(2) 携行品をもう一度確かめておく。
 
(3) 朝食はゆっくり食べ、用便を必ず済ませておく。
 
(4) 30分前には試験場に到着するよう、余裕をもって出かける。
 
(5) 友達どうしでの待ち合わせはなるべくしないこと。
 
(6) 自家用車は避け、通常の交通機関を使うこと。
 2.試験場へ着いたら
 
(1) 友達とふざけあったり、他の人に迷惑をかけたりしない。
 
(2) 友達と学習内容に関する話はしないようにする。
 
(3) 係員の指示や掲示に注意する。
 3.教室に入ったら
 
(1) 受験番号や名前を書くところは一か所とは限りません。書き落としのないように。他の学校の番号を書いてしまうこともあるので記憶に頼らず受験票を見て書くこと。
 
(2) 試験はやさしいと思われるものから手をつけること。そして問題文を落ち着いて読み大事なところには線を引くこと。
 
(3) 下手でもかたがないが、文字は丁寧に書くこと。乱雑な字は、入る気がないと思われます。
 
(4) やった問題は確実に得点できるように、必ず見直しをする。
 
(5) 合格点を狙う。一題や二題できなくても気にしないで、できるものをどんどん解く。満点をとる人はほとんどいない。
 
(6) 時間があまったら見直しをすること。特に単位など間違っていないか。
 
(7) すんだ試験にくよくよしない。また、休み時間に友達と答えあわせなどしない。

■入学願書を出す心得
 1.願書用紙は各自志望中学校にいってお求め下さい。
 
 入学案内関係書類の頒布は、私立中学校ではすでにほとんどの学校で行っておりますが、国立中学校は12月上旬~1月中旬ごろの予定になっています。募集要項については、昨年と変わる学校もありますから、早目に整えて検討・準備するようにして下さい。

 2.願書提出について
 
(1) 願書提出日……ふつう1月20日前後です。
 

 ただし、学校により若干異なることもあります。案内書を精読して下さい。
 
(2) 出願に必要なもの
 

  ふつう次の通りです。
入学願書……本人の写真を添付するようになっています。

大きさは学校によって、それぞれ指定されていますので注意して下さい。(写真はふつう胸部より上)大きさの例 6×4.5,5.5×4.5,4.6×3.6,4×3 などがあります。
健康診断書

学校によっていらないところもあります。また、校医の印が必要な場合と不要な場合とがあります。
報告書

ふつう報告書用紙は小学校長会所定のものを小学校で準備してあります。ただし学校によっては、案内書と一緒に独自な用紙をわたされるところもありますので、ご注意下さい。

 ※ 報告書が不要な学校もあります。

 通信簿のコピーの場合も、本人がコピーしてかまわないケースがほとんどです。この場合は、学校側が受験のし易さを考慮していますから、堅く考えることはありません。簡便な方法で構わないのです。逆に言うと、「合否はテストの成績が第一」でほかはあまり(ほとんど)関係ないということです。
戸籍抄本(謄本)

 学校によって必要なところや、不必要なところもあります。また、出願の際に提出のところと、合格の後に提出させるところがあります。地方に本籍のある人は、早目にとりよせてください。
選考料金 30,000円くらい

 試験制度の変更で、複数回受験で受験料が変わる場合もあります。

 3.願書用紙の記入の心得
 
(1) 記入について
 

すべてペンで書き、鉛筆やボールペンを使用しないこと。

 といいながら、昨今はボールペン書きでも構わなくなりましたね。世の中の流れは、「簡易へ」です。
楷書で入念に具体的に書く。
注意書きをよく読んでから書く。
下書きをしてから書くこと。
 
(2) 志望(出願)理由欄の書き方
 

 平素考えていることをそのままに、素直に書いて下さい。
<例1> 両親ともに東京出身で、貴校のことについては、早くから伺っておりましたし、貴校への入学は、この子の幼いころからの宿願でした。
<例2> 伝統をもつ、貴校の校風に対する私どものあこがれと、学校の担任の先生のおすすめ、子供の学力から推して、貴校入学を熱望しています。
<例3> この子の従兄弟にあたるものが二名も貴校に通学しておりますし、本人も折にふれて、貴校のことを伺い、是非にと希望しています。また通学上とても便利です。
<例4> 学校参観の折の校長先生のご説明に深く感動し、また、細かに行き届いた教育的なご配慮を感じ、年来の宿志ますます固く貴校入学を心から念じております。
※ 1, これは某進学教室の資料を基に一部加筆・訂正しています。そのまま真似しますとステロタイプとなります。あくまで参考にとどめてください。
※ 2, 学習院・山脇など志望理由の記入欄が広い場合、言うまでもありませんがかなり綿密に考え練りに練って記入致しましょう。

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 模試の見方(1) - 中学受験のヒント集 -

 指導要領の軽減2002年問題が騒がれてから、中学受験生が増加しています。模擬試験の受験生も、増加しています。ただ、模試によっては継続して受験するというよりも、ポツポツつまんで受験する生徒もいます。
 
「子供の学力は、家庭で守る」

   この意識が、浸透したため受験生の増加となったのでしょう。
 
 文部行政は、ご存じのように右往左往し、指導要領は最低限度で"それ以上"のことを指導も良いと、かわりました。
 しかし、限られた時間内で"それ以上の指導"を現場の先生方へ求めるのは、酷といえます。
 
 余談ですが、経済アナリストの森永卓郎氏などは「日本でも近ごろ、一般庶民の子供には〝ゆとり教育″といって、わざと子供を馬鹿にする教育を政府でやってますよ(笑)。政府を批判しないように、金持ちの額域に入ってこないように。ビジネス・チャンスは金持ちの子供達だけのものというわけです。〃構造改革″による弱肉強食システムの導入で、日本の社会はいずれ(所得の三層化)が現れると私はみています。…(一部略)…やがて親の年収格差がそのまま子供の学力に反映されるようになるでしょう。」(文藝春秋 03年12月号)といっています。同種の指摘は、以前からいわれています。二極化、中産階級の消滅、などなどで、教育は、その下地作りとなります。教育も二極化するのです。
 かつて、銀行破綻などで、学歴の効用に疑念を持つ人たちが出てきましたが、それはもっけの幸い。参加者が減るので、喜ぶ人たちがいるわけです。
 単なる学歴ではなく、学力をともなった学歴とより厳しくなっただけで、本質は何ら変わらない。
 
 さて、話を戻しましょう。留意点を次に示します。
(1) 4教科生が増加しています。これは、試験科目が「4教科・2教科選択」の学校が急増し、偏差値が中位・上位校ほど4教科生有利となっているからです。

(2) 2004年入試は、日曜日が2月1日となります。いわゆるミッションショックです。キリスト教系の学校が入試日を変更するために、例年ではできない併願が可能となります。難易度表などをご覧になるときは、(特に、五年生の方は)その点を頭に入れておいて下さい。

(3) 模試で書く志望校の変化。六年生の方で実際に受験するとお分かりになりますが、五年生・四年生の方のためにちょっと一言。第一回の模試から順に回を追うごとに、変化していきます。より現実的な選択へ、併願パターンを考慮するように変わっていきます。

(4) 模試と実際の入試問題。模擬試験は一つのモノサシで全員を並べて比較します。一般に、時間と問題量の点から実際の入試より”きつく”なっています。限られた時間内で、早く正確に得点する力が問われるわけです。時間と問題量との比較で、じっくり一題を解くタイプの学校では、ややあわない部分が出てきます。

(5) 中学受験は、進学校の場合は大学入試の実績と連動する比率が高いです。高校受験の難易度は、硬直しているので実態と乖離しているケースがあります。

(6) 高校受験の偏差値は、進研・新教育の2社(埼玉は北辰)のデータですが、生徒の上下差が大きく、難関校とそれ以外で大きく分かれます。そのため、一握りの難関校志望者は、某進学教室の模試を受験したりします。つまり、中学受験で上位層がぬけているということです。

(7) 4教科と2教科で難易度を、単純に比較できません。4教科を学習するのは、時間的に(単純に考えて)二倍です。その負担を考えると、仮に4教科のA校が偏差値50で、2教科のB校が偏差値52だとします。A校のほうが簡単とはいえないわけです。どの程度の差かは、判断しにくいです。四谷大塚YTネットの難易度表は、縦軸に偏差値をとっています。4教科と2教科を並べるのに、4か3程度ずらしています。しかし、これは便宜的なそうしているものです。

(8) チャレンジ校は、幅広い。四谷大塚YTネットの合判(合不合判定)テストの個人別成績表には、チャレンジ校という項目があります。ただ、可能性がさしてなくとも、ここに表示されます。ここに出たからいとって、受験をお勧めできるものではありません。

(9) 模試の精度が云々されることがあります。80パーセントも出ていた(中学受験ではほぼ合格のライン)のに落ちた、またはその逆のケースです。これが必ずしも、模試の精度の疑問にはつながりません。12歳の子が受験するのですから、学力以外のメンタル面が大きく影響することがあるからです。高校・大学と偏差値通りの受験となる割合が高くなります。

(10) 模試といっても、緊張感を持ちたいものです。予行演習の一部だと考えて頂きたい。入試はたいがい午前中に行われます。模試の受験者が午前中に多いのは、そのためです。ところが、試験場への送迎がたいへんという理由だけ(午前が日曜テストと重なる場合は別)で、午後というのは感心しません。また、親御さんの緊張感がなくなり試験自体を忘れて遅刻するのもいけませんね。

以上、ランダムに留意点を書きましたが、模試の位置づけを正しく把握して、合格を!

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 指示語の穴埋めは簡単? - ここで間違える国語 第1回 -

(前略)手間は同じで、モウケからいえばセット売りの方がぐんと大きい。とすれば、単品売りはバカらしい。家具屋さんがセット化するのは結局のところ、そういう発想にもとづいている。(後略)

問   線7「そういう発想」とは何ですか。次の[  ]に指定の字数の文中の言葉をあてはめなさい。

  1[ 二字 ]がおなじなら 2[ 三字 ]が 3[ 三字 ]ほうがいいとする発想

YT過去問シリーズ③平成11年

【なぜひっかかるか?】

 この文章の前に、単品売り・セット売りの違いがわかるように説明がされています。しかし、それでもいったい何のことか、わかりにくい人もいるでしょう。

 さて、本来は、「…そういう発想とはどういう発想ですか。××字以内で文中の言葉を使って書きなさい。」という、指示語の問題です。

 「発想」=思いつき、だから直前の文を指している。直前の文は、発想=思いつき=考えが書かれている。「とすれば、単品売りはバカらしい。」ここだ。最も短いと「バカらしい」だ。

 また、指示語の問題は直前の文からさがしなさい。と、教わるから、ますますこの文に固着する。

 すると、袋小路に入りあてはめられなくなる(らしい)。

 大人にとって簡単でも、小学生(中学受験生)にとっては、難しいものなのです。

【読解のパターン】

 空欄の前後のことばがヒント!

 1のあと「が、おなじなら」とあるので、同一あるいは同類語をさがす。「…同じで…」を発見すると、後は楽。「…2(三字)が3(三字)ほうがいい…」は「○が×のほうがいい」というのだから、モウケが大きい方がいいに決まっている。

 さて、ここでもピンとこない生徒がまだいる。えっ、なぜだって?

 「モウケ」がカタカナだからです。「モウケ=儲け=利益=自分が得をすること」と、思考過程で結びつかない(らしい)のです。

【解答】

1 手間   2 モウケ   3 大きい

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 「ぬ」って何? 「ない」の識別 - ここで間違える国語 第2回 -

 例をあげればきりがない。4そのような言葉の一群を、私たちは主として学校の外でによって覚えた。それらは印刷され、読まれ、教えられる言葉とは全くちがう言葉であり、動作や感情や遊びの場と切りすことができぬからこそ、余計に日々の5現実生活の中で言葉として生きていたと言えるだろう。

入試問題集から

問八   線5「現実生活の中で言葉として生きていた」を次のようにいいかえてみました。[   ]にあてはまるように文中の言葉を使って文章を完成させなさい。ただし、字数は二十字以内で「結びついて」という言葉を必ず使うこと。

    言葉が[     ]ということ。

【なぜひっかかる?】

 本質的な文章読解ができないこともあるでしょうが、一応わかっていてもひっかかるのは「ぬ」の意味です。完了と否定(打ち消し)がありますが、そのどちらでもないようによんでしまう(らしい)。

 助動詞「ない」の識別で、ながく「ぬ」に置き換えられると助動詞で、られないと形容詞と教えていたが、近年は「ぬ」に置き換えられること自体がわからない子が多い。

 わからないのは無理もない。打ち消しの「ぬ」は、古い言い方で普段使わない。使っている文章も読まない。

例1 今日は、新聞を読んでいない。

 この「ない」を「ぬ」に換えると、「今日は、新聞を読んでいぬ。」となる。「いぬ」?犬? でとまどう(らしい)。

例2 昨日は雨で、散歩しなかった。

 この「しなかった」→「しない」は、ことばのきまり(文法)では、よく出てきます。生徒には『しない』が出てきたら、あやしいと注意しろと教えています。選択問題で誤答か正答か、いずれかの確立が高い。正答でなければ、誤答に決まっているって、そういうつっこみはなし。

 間違えてしまう確率が高いと言うことです。

 「しない」-(「ぬ」に換えると)→「しぬ」 死ぬ? となる(らしい)。

例1は、「いぬ」は、置き換えられる。つまり、この「ない」は助動詞。

例2は、動詞「する」の活用がわかれば、「しぬ」ではなく「せぬ」となることがわかる(といいなぁ)。

 「今日は熱で、塾へ行かぬから自宅で寝ているよ。」なんて、いわないよね。「貴殿には、拙者を切れぬ。」ってなかんじですか。

 最近は、「助動詞は付属語、形容詞は自立語」「自立語は文節をつくれる(一文節に一自立語)」ということから、「ない」の直前で文節に区切ってみる、という方法を教える。

 しかし、これも国語が苦手の生徒には、前提となる「助動詞は付属語、形容詞は自立語」「自立語は文節をつくれる(一文節に一自立語)」が、小難しいと毛嫌いされてしまう(^_^)

【読解のパターン】

 結局、「結びついて」を使うのなら、「切り離すことができぬ」を使うな!

 「ぬ」が打ち消しとわかり、さらに考えれば、「結びついている=切り離せない(ぬ)」ことに気がつきます。ここがポイント!

 両方入れようとすること自体が、間違いです。

【解答】

正解例  動作や感情や遊びの場と結びついている(18字)

誤答例1 動作や感情や遊びの場と結びついていぬ

誤答例2 結びついて切りすことができぬ

 誤答例2は、意味は通りますが、何と結びついているかが書かれていない点が致命傷です。また、「結びついている=切り離せない(ぬ)」は、出題者のネライ(意図)というか配慮というか、が表れています。高度の読解力がある生徒は、暗黙のうちに書いてもらいたい解答をそこから、読み取ります(読み取るらしい)。

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 あてはまればなんでも○? - ここで間違える国語 第3回 -

 …直接植物を食べない動物もいますが、彼らは植物を食べた動物を食べます。( 3 )は植物を食べた毛虫を食べ、小鳥はクモを食べ、( 4 )は小鳥を食べ、( 5 )はヘビをとらえます。クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。

 植物が光合成をしたものは、植物の生活に使われるだけでなく、このような「食う食われる」の関係(食物といいます)を通じて、すべての動物の生活をもまかなっているのです。

                                  入試問題から

問七 ( 3 )( 4 )( 5 )に入る動物名を、それぞれ文中からぬき出しなさい。

【どこでひっかかる?】

 知識がじゃまをする。あるいは、出題者の意図が読めない? 問いが読めない。

 ある生徒の解答に、4タカ、5マングース、とありマングースはヘビを食べるもんと、主張してなかなかゆずらない小六の女子がいた。

 「問題には、文中からぬき出し…」とあるだろう、だから駄目なんだよ。といっても、そんなの変、だって食べるもん。であった。

 頑固というか、意思が固いというか、マングース対ヘビの対決がしっかりと焼き付けられているようだ。

  この問いの場合は、「文中の言葉を…」と、はっきり書かれているので、『問題文の読み飛ばし』だ。しっかり読みなさい、ですませてしまいがちだ。

 しかし、それだけでは、4にワシと解答して、×だとは説明しにくいのではないか。

 なんでも当てはまりそうだという問いは確かにある。暗黙の前提というやつだ。算数にもあるし、中学受験(勉強)にもある。これは、経験(受験勉強)で体得するものだ。言語化して、いちいち説明してもかえってわかりにくい。

【読解のパターン】

「3は植物を食べた毛虫を食べ、小鳥はクモを食べ、4は小鳥を食べ、5はヘビをとらえます。クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。」

 食物連鎖ですから、まさしく順繰りに回っています。空欄の次の文「クモもヘビもワシも、もとをただせば植物を食べているわけです。」の意味がわかるかどうかがキー。

 パッと反射的に、「4は小鳥を食べ…」を読んで「うちのパパは焼き鳥が好き…」などと、想像たくましくしたら、5でヘビとマングースの対決となってしまうのではないかな。

【解答】

3クモ  4ヘビ  5ワシ

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 冗談はおすき? - ここで間違える国語 第4回 -

 フォードTという自動車がフォード会社で大量生産され、アメリカで普及しました。その頃、アメリカで「  A  」という冗談がはやりました。スピードはフォードTのほうがはるかに遅いのですけれども、どうして追い抜くことができないかというと、フォードTを抜くと前にフォードTが走っている、というんです。それを抜くと、また走っているというのです。抜いても抜いても前にフォードTがあるという意味で「 A 」という冗談がはやったのです。それくらいフォードTが普及し、世界の自動車のトップに立ったのです。

                              城北中学校の入試問題

問二  A には、どのような文が入ると考えられますか。「どんなスポーツカーも」という書き出しで三十字以内で答えなさい。

【どこでひっかかる?】

 子どもは、駄洒落のたぐいがすきだ。よく、空きカンの上にあるみかん…、ふとんがふっとんだ、マイケルジョーダンの冗談はまあいけるじょうだん、などを聞かされる。あわせて、笑う気にもならない。だって、流行廃りはあれど何度も何度も聞かされると、感覚が麻痺する。

 ふくおかでふくをかおう、きょうかいに行くのは今日かい?、など新作が出てくると、おおっと感心する。

 また、自分が子どもの頃言っていたのと同じ駄洒落を聞くと、おどろきとともに文化の伝承なんてことを考え…、るわけないが懐かしく思うのは間違いない。

 さて、わからない子は、空欄の続き「…どうして追い抜くことができないかというと、…(中略)…があるという意味で…」から、その場面を想像できないのだ(ろう)。

 自分の家の車は、ベンツだ。ある日父の運転でドライブしていると、前に国産のミニカーAが走っている。追い抜くとさらに、べつの色のAが走っていた。じゃまだな、とか感じつつ、追い抜くとまた、今度は赤いAが走っていた。売れてる車なんだな。

 てな、情景がチラッとでも想像できればなんてことはない(はず)。

  想像できれば、冗談としておもしろいと感じるかどうかは別として解答はできる(はずだ)。これが、なんでですか、前を走っている車は追い抜いたのとは別の車でしょ、それなのに何で追い抜けないことになるのですか?と、聞かれると返答に窮する。

 実は、真顔で聞かれたことがあるのです(~_~メ)

【解答】

例 どんなスポーツカーもけっしてフォードTをぬくことはできない。(30字)

「…という書き出しで…」という指示ですから、解答に含みます。

 幼少のときから、ことば遊びのたぐいでこの種の感性を磨きたいものです。

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 主語がわからない? 指示語がわからない? - ここで間違える国語 第5回 -

 ただいま満一歳のまどかは絵本に夢中である。終日、母親の私を追いまわして離れないのは本を読んでもらうためで、ありったけの絵本を胸にかかえてあぶなっかしい足つきでを行進してきたりすると、もうするほかない。それらの本を読んできかせるのが、いまは毎日のお勤めとなっている。

   …( 中略 )…

  ことばをおぼえることは、精神が事物を支配してを形成することでもある。精神が、といったけれども、(2)このたよりなげな存在がすでに精神をもっていることは確実で、じつはそれは、(3)ことばをおぼえることによって形成されるのである。

    入試問題から

問二   線部(2)の「このたよりなげな存在」とは具体的にいって何をさしていますか。

問三   線部(3)の「ことばをおぼえることによって形成される」ものは何ですか。文中の語を抜き出して答えなさい。

【なぜわからないのか?】

 問二 (2)は「この」という指示語で始まっている。学習している生徒は、直前の文からさがす。「ことばをおぼえることは、精神が事物を支配してを形成することでもある。」読者の方は、もうお分かりでしょうがこの中に指されている言葉はない。…(中略)…には、いくつかの文があった。それを飛び越えて、さがすのは長文になれていない生徒にとっては、きついのだ。

 しかも、直前の文には、精神・事物・支配・秩序・形成と漢語が登場してくる。小学生は一般に説明的文章が苦手だ。説明的文章のほうがわかりやすいという受験生は、読解のレベルが高いか、漢語にアレルギーを持たない子だ。説明的文章には、漢語が多い。

 直前の文に、といってさがすと混乱するようだ。話そのもの、本質理解があれば、簡単なのだが…。

 問三 やや長い文の文末といってもよい部分に下線がある。文を読み直して、「…いることは確実で、じつはそれは、…(中略)…形成されるのである。」 問いは、「…されるものは何ですか。」だから、『それ』を聞いているとわかる(といいな)。

 つまり、述語の部分(述語限定ではなく広く「述語を含む部分」ととらえて下さい)に下線を引いて、何がときけば主語を聞いているのだ。

 文が長くて、かつ複文だから文の構造が読み取りにくいが、(3)の直前「…じつはそれは、…」から、読めば見当がつくものだ。

 ところが、このような主語を答えさせる問題、省略された述語を聞く問題、など意外と手間取ることが多い。

 文と文との関係、文の構成要素相互の関係が読み取れていないことが原因だろう。一文を読むことだけで精一杯なのかもしれない。

【解答】

問二 満一歳のまどか

問三 精神

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 どこまで書くか、どこから書くか。 - ここで間違える国語 第6回 -

…自分から頭を下げるのがはずかしかったからだ。…

問い 傍線「いかりも何もさめてしまった。ぼくは、後悔した。」それでも「ぼく」があやまらなかったのはなぜですか。その理由を20字以内でさがし、ぬきだして答えなさい。

                      YTネットテキスト 四年上 第9回

【誤答例との比較】

 字数制限がなければ、一文すべて書いて大楽勝なのだが、そうはいかない。模範解答は「自分から頭を下げるのがはずかしかったから(20字)」であり、誤答は「頭を下げるのがはずかしかったからだ。(18字)」である。キーは「自分から」の有無となる。

 この一語があるかないかで意味合いが違ってくる。高学年でもそんなことは、意識せずに、「だ。」を書かずに単純に「から」で終わらせるかもしれない。それはそれでいいのだ、(言語化されない)なんとなくでも「自分から」の一語を入れる、それが大切な感覚なのだ。

 四年生は、なぜか文末の「だ。」まで書きたがる。「だ。」と断定で言い切られないと、不安なのかもしれない。

 記述の解答方法で「理由を聞いているから、『~から。』とまとめる」を、徹底すると○○の一つ覚えとなり、なんでもかでも「~から。」で終わらせる。しかし、前記の例に出した問題では、間違えなくなる。いいのか、悪いのか

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 文の単位がわからない? - ここで間違える国語 第7回 -

 そればかりではない。今では、髪の毛ほどの細いガラスの糸を作り、それを通信に使うことまで開発されてきている。これまでの電気を使った通信に代わって、糸の中に光を走らせて通信をするのである。この方法だと、電線よりずっと細く軽いガラスの糸によって、はるかに速く、多くの通信ができる。

                                              YTネットテキスト 四年上 第?回

問い 段落の要点がまとめられている文のはじめの五字をぬき出して答えなさい。

【指導事例から】

 四年生の授業開始時点では、正確にはまだ3年生(通常進学塾では2月開始)。それもあるのだろうけれど、基本的な用語を理解周知させるまでに例年時間がかかる。

 そのため、解答方法を理解する(させる)のにも時間がかかるのだが、「文」という概念が以前より希薄で、文の初めと終わり、文のはじめの××字を書きなさい、といった指定では、わかるまでに時間がかかる生徒が、明らかに増えたようだ。

 普段文を書いていないせいだろうか。

 「この形式段落には、ぶんはいくつある?」

 「?」

 「文だよ、文。どんなかたまりだった?」

 「まる(句点)からまる(句点)まで。」

 「そのとおり。じゃ、まるはいくつある?」

 「え~と、(時間がかかるも)4つ。」

 「では、可能性は4か所だね。」

 まず、これがわからない(らしい)。もう一度、問いを読んでやっと理解する。

 「では、答えとなりそうなところを順に言ってごらん。」

 「『そればかり』、『今では、髪』…」と言えると、わぁっとうれしくなるのだが、せっかくまるのとこに印を付けさせても、いざとなるといえなくなる子が出てくる。答案には、途中から書いて来る子がいる。

 文の途中から書いて×の子に、「文のはじめは?」と、なんどか問い返してやっと理解してもらえる。まさに身につくのだ。一度身につくと、もう間違えない。

 生徒には、夏の蚊のようにブンブンとうるさがられていたのかもしれない(^_^)

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 自作しちゃ駄目? - ここで間違える国語 第8回 -

 動物園の象が催眠術で、人間だと思いこんだという、星新一「服を着た象」から。入試問題でもあるし、YTネットのテスト及びテキストにも使われています。

 鼻でノックをした。出てきた主人はきもをつぶした。「これはまた、なんとしたことだ。」
「じつは、裸で外を歩くのがみっともないので、洋服がほしいのです。」
ゾウが言葉をしゃべるのを聞き、主人はまた驚いた。なにかの冗談かと思ったのだが、さわってみるとぬいぐるみなどではなく、本物のゾウだ。しかも、意外におとなしい。
ひと安心し、驚きがおさまった主人は考えた。これはいい宣伝になるかもしれない。ていねいに対応することにしよう。

問い    線「なにかの冗談かと思った」とありますが、洋服店の主人は、具体的にはどういう冗談だと思ったのですか。三十字程度で答えなさい。

【実際に学習すると…】

 小学五年生の授業です。実際に書かせて解答を見ると、あきらかに、問題の作り替えというか勘違いの生徒が出てきた。

誤答例  象がしゃべり、さわってみるとめいぐるみなどではなく、本物のゾウだったから。

 この種の間違いが多かった。では、どういう考え違いをしたのだろうか。

 誤答から類推すると、「問い なぜ冗談だと思ったのですか。」と、読み取ったらしい。だが、だとしてもぬいぐるみではなく、本物だったら冗談なのだろうか? 疑問が残る。

 しかし、問いをよく読みなさい、なぜではなく、どういう冗談かと、冗談の内容を聞いてるよ。と言ってもう一度直させても、なかなか直りにくいものだ。

 次に、「なぜ驚いたのですか?」と勘違いしたとしても、誤答例では正解ではない。「ゾウが突然現れ、言葉をしゃべったから。」が、この場合の正解だ。

 ドアをあけるとゾウがいた。びっくりの1

 ゾウがしゃべった。びっくりの2    本文「…聞き、主人はまた驚いた。」から判断。

 冗談だと思った。ぬいぐるみだと思い、さわってみる。本物だった。おとなしいので、安心して、考えた

このように、文章の順にしたがって順次読み取っていくということは、小学生ではまず考えもしない。説明すると、「へぇ~」という顔をする。だが、実際に問題を解くときになると忘れているのだろう(`´メ)

記憶に少しでも残っていて、実際につかえると格段の進歩であるのはいうまでもない。

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