ピックの定理
面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 ピックの定理を,以下の順で証明していきます。
ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 長方形においてピックの定理が成り立つことを,以下の順で証明していきます。
(1) まわりの点の数÷2を表す図を作成する。 ![]()
すると,まわりの点の数÷2 は,
まわりの点の数÷2 は,たて+横 のことですから,次のように表せることがわかりました。 ![]() (2) 内部の点の数を表す図を作成する。 ![]() たてには5個,横には7個の点があります。 たての点の数は,(たて−1) となります。 (※植木算において,両端の木を数えないとは,1を引くことを思い出してください。) 同じようにして,横の点の数は,(横−1) となります。
よって,内部の点の数は,(たて−1)×(横−1) となります。
図で表すと,次のようになります。 ![]() (3) 長方形において,ピックの定理は成り立つ。 (1)で,まわりの点の数÷2 は,次のように表せることがわかりました。 ![]()
(2)で,内部の点の数は,次のように表せることがわかりました。 ![]()
よって,まわりの点の数÷2+内部の点の数は,次のように表すことができます。 ![]()
ですから,まわりの点の数÷2+内部の点の数−1 が,長方形の面積を表すことになります。 (証明終)
ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 直角三角形においてピックの定理が成り立つことを,以下の順で証明していきます。
(1) 直角三角形の面積を表す式を作成する。 ![]() ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 ところで,長方形においては,まわりの点の数÷2 は,たて+横 のことでしたから, 長方形の面積は,次のように表すことができます。 長方形の面積 = たて + 横 + 内部の点の数 − 1
長方形を,対角線によって2等分すると,直角三角形ができますから,
今後の都合により,さらに次のように式を変更します。 直角三角形の面積 =( たて + 横 + 対 + 1 + 内 × 2 − 2)÷2 (2) 直角三角形のまわりの点の数を表す式を作成する。 ![]() 赤い線の部分(両端の赤い点もふくむ)の点の数は, たて+横+1 で表すことができます。 (植木算で,両端もふくめた木の数は,1を加えることを思い出してください。)
直角三角形のまわりの点の数 = たて + 横 + 対 + 1 (3) 直角三角形において,ピックの定理は成り立つ。 (1)で,直角三角形の面積を表す式を作成しました。 直角三角形の面積 =( たて + 横 + 対 + 1 + 内 × 2 − 2)÷2 (2)で,直角三角形のまわりの点の数を表す式を作成しました。 直角三角形のまわりの点の数 = たて + 横 + 対 + 1 よく見くらべてみて下さい。 どうですか?たて+横+対+1の部分が共通であることがわかりますね。 よって,直角三角形の面積の式は,次のように変更することができます。 直角三角形の面積 =( まわりの点の数 + 内 × 2 − 2)÷2 この式をよく見ると,カッコの中の 内 × 2 − 2 の部分は,あとで÷2をするのですから,次のように変更しても,同じ意味になります。 直角三角形の面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内 − 1 この式は,ピックの定理そのものですね。 ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1
これで,直角三角形においては,ピックの定理が成り立つことがわかりました。 (証明終)
ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 底辺が水平な三角形においてピックの定理が成り立つことを,以下の順で証明していきます。
(1) 底辺が水平な三角形の面積を表す式を作成する。 ![]()
直角三角形においては,ピックの定理が成り立つことが,すでにわかっています。 ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1
左側の直角三角形の面積=(ア+イ+ウ+3)÷2+内1−1 右側の直角三角形に,ピックの定理を適用します。 右側の直角三角形の面積=(ウ+エ+オ+3)÷2+内2−1 左側と右側の直角三角形の和が,全体の面積になりますから,
底辺が水平な三角形の面積
底辺が水平な三角形の面積
(2) 底辺が水平な三角形のまわりの点の数を表す式を作成する。 ![]() まわりの点の数=ア+イ+エ+オ+4 (3) 底辺が水平な三角形において,ピックの定理は成り立つ。 (1)で,底辺が水平な三角形の面積を表す式を作成しました。
底辺が水平な三角形の面積 (2)で,底辺が水平な三角形のまわりの点の数を表す式を作成しました。 まわりの点の数=ア+イ+エ+オ+4 よく見くらべると,ア+イ+エ+オ+4の部分が共通であることがわかります。 よって,底辺が水平な三角形の面積の式は,次のように変更することができます。 底辺が水平な三角形の面積=(まわりの点の数+ウ×2+2)÷2+内1+内2−1−1 この式をよく見ると,カッコの中の ウ×2+2 の部分は,あとで÷2をするのですから,次のように変更しても,同じ意味になります。 底辺が水平な三角形の面積=まわりの点の数÷2+ウ+1+内1+内2−1−1 この式の,+1 の部分と −1 の部分は打ち消しあうので, 底辺が水平な三角形の面積=まわりの点の数÷2+ウ+内1+内2−1
この式は,ピックの定理そのものです。 ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1
これで,底辺が水平な三角形においては,ピックの定理が成り立つことがわかりました。 (証明終)
ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 どんな三角形でもピックの定理が成り立つことを,以下の順で証明していきます。
(1) 三角形にぴったりはまる長方形を描く。 長方形,直角三角形,底辺が水平な三角形においては,ピックの定理が成り立つことが,すでにわかっています。 ![]()
(2) 取り除く三角形の面積の和を表す式を作成する。 ![]() 内部の点の数を,それぞれ内1,内2,内3,内4とします。
=(ア+ク+オ+ク+イ+カ+キ+ウ+エ+9)÷2+(内1+内2+内3)−3
=(ア+ク+オ+ク+イ+カ+キ+ウ+エ)÷2+4.5+(内1+内2+内3)−3
=(ア+ク+オ+ク+イ+カ+キ+ウ+エ)÷2+(内1+内2+内3)+1.5
(3) ぴったりはまる長方形の面積を表す式を作成する。 ![]()
長方形の面積
=(ア+イ+ウ+エ+4)÷2+内1+内2+内3+内4+オ+カ+キ+ク+1−1
=(ア+イ+ウ+エ+4)÷2+内1+内2+内3+内4+オ+カ+キ+ク
=(ア+イ+ウ+エ)÷2+内1+内2+内3+内4+オ+カ+キ+ク+2
長方形の面積
(4) 三角形の面積を表す式を作成する。 (3)により,長方形の面積は,
(ア+イ+ウ+エ+オ+カ+キ+ク+オ+カ+キ+ク)÷2+内1+内2+内3+内4+2
(2)により,取り除く三角形の面積の和は,
(ア+ク+オ+ク+イ+カ+キ+ウ+エ)÷2+(内1+内2+内3)+1.5
三角形の面積を求めるには,長方形の面積から,PQRの面積の面積の和を引くことになります。 ということは,
(ア+イ+ウ+エ+オ+カ+キ+ク+オ+カ+キ+ク)÷2+内1+内2+内3+内4+2
(ア+ク+オ+ク+イ+カ+キ+ウ+エ)÷2+(内1+内2+内3)+1.5
2−1.5=0.5 ですから,取り除いたあとは,
(オ+カ+キ)÷2+内4+0.5
(5) どんな三角形でも,ピックの定理は成り立つ。 ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 (4)により,三角形の面積は,
(オ+カ+キ)÷2+内4+0.5
ですから,どんな三角形でも,ピックの定理が成り立つことを証明するためには,
まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 が, ということを証明できればよいことになります。
また,内部の点の数は,内4 です。 ですから,まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 は, (オ+カ+キ+3)÷2+内4−1 となります。
この式で,カッコの中には3という数が入っていますが, (オ+カ+キ)÷2+1.5+内4−1 となります。 1.5−1=0.5 ですから,次のようになります。 (オ+カ+キ)÷2+内4+0.5 となります。 この式はまさに,ピックの定理が成り立つために証明したかった,ターゲットの式そのものですね。 よって,どんな三角形でも,ピックの定理が成り立つことが証明されたわけです。
(証明終)
ピックの定理 面積 = まわりの点の数 ÷ 2 + 内部の点の数 − 1 どんな図形でもピックの定理が成り立つことを,以下の順で証明していきます。
(1) どんな図形も,何個かの三角形に分けることができる。 下の図のように,1つのちょう点から対角線を引いていけば,何個かの三角形に分けることができます。
![]()
![]() (2) ある図形に対してピックの定理が成り立つならば,その図形に三角形をくっつけた図形にも,ピックの定理は成り立つ。 ![]() Pの面積=Pのまわりの点の数÷2+Pの内部の点の数−1
![]()
どんな三角形でもピックの定理は成り立つのですから,Qにもピックの定理は成り立ちます。
PとQの面積の和=(Pのまわりの点の数+Qのまわりの点の数)÷2+Pの内部の点の数+Qの内部の点の数−1−1
Rのまわりの点の数÷2+Rの内部の点の数−1 が,PとQの面積の和になったならば,Rにもピックの定理が成り立つことになります。 整理すると, Rのまわりの点の数÷2+Rの内部の点の数−1
が,
ターゲットの式 … (Pのまわりの点の数+Qのまわりの点の数)÷2+Pの内部の点の数+Qの内部の点の数−1−1
Qのまわりの点の数=Pのまわりの点の数+Qのまわりの点の数−アア−2 となります。 また,Rの内部の点の数も,PとQの内部の点の数の合計とは,等しくありません。
よって, Qの内部の点の数=Pの内部の点の数+Qの内部の点の数+ア となります。
よって,
Rのまわりの点の数÷2+Rの内部の点の数−1 たしかに,ターゲットの式そのものになりましたね。 よって,
ある図形に対してピックの定理が成り立つならば,その図形に三角形をくっつけた図形にも,ピックの定理は成り立つ。
(3) どんな図形にも,ピックの定理は成り立つ。 とうとう,ピックの定理を証明するときがきました。いままでたくさん準備してきましたね。
この図形は三角形ですから,ピックの定理は成り立ちます。 はじめの三角形にはピックの定理が成り立ち,すぐとなりの三角形にもピックの定理が成り立つのですから, (2)で証明した通り,くっつけたあとの図形にも,ピックの定理は成り立ちます。
くっつける前の図形にはピックの定理が成り立ち,(2)で証明した通り,くっつけたあとの図形にも,ピックの定理は成り立ちます。 このようにして,三角形をいくらくっつけていっても,必ずピックの定理は成り立つのです。 すると,最終的にできあがった図形も,ピックの定理が成り立つことになるのです。
(証明終)
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