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 パップス・ギュルダンの定理

↓円すい台に分けるアイデアを,この本からもらいました。

↓パップス・ギュルダンの定理の存在を,この本で知りました。

目次
1.パップス・ギュルダンの定理
2.トーラスの体積・表面積
3.球の表面積
4.球の体積

3.球の表面積

 球の表面積は,ふつう(高校の数学で習う)積分を使って求めます。

 次のような公式です。

球の表面積

球の表面積 = 半径×半径×4×3.14

 この公式を,パップス・ギュルダンの定理を利用して,小学生レベルで導いてみます。

パップス・ギュルダンの定理による表面積の考え方

回転させたい図形を,(とても細い)針金でできていると考える。

 まず,球を右図のように,水平に細かく分けます。
 (円の面積を求めるときも,同じように細かく分けましたね。)
 それぞれの側面積を求めると,その和が円の表面積になります。

 細かく分けたうちの1つを取り出すと,右図のようになっています。
 これは円すい台という立体ですね。
 円すい台の側面積の求め方は,すでに説明ずみです。

右図のように,長さアの線を軸のまわりに回転させたときの面が,側面になります。
 その面積は,線の真ん中から軸までの距離をイとすると,パップス・ギュルダンの定理により,

 円すい台の側面積=ア×イ×2×3.14


 となります。

 この式の,

ア×イ という部分に注目します。

 右図のように,軸から見たアの長さをウ,
 アの真ん中から垂直にひいた線が軸とぶつかるまでの長さをエとすると,

 下の図の赤い三角形と緑の三角形とは相似です。

 相似ですから,対応する辺の長さの比は等しいので,

 ア:エ=ウ:イ

 となります。

 外項の積と内項の積とは等しいですから,

 ア×イ=ウ×エ

 よって,円すい台の側面積は,次のように代えてもよいことになります。

 円すい台の側面積=ウ×エ×2×3.14


 いま,右図の斜線部分の円すい台について考えていたとすると,エは球の半径にあたります。

 ですから,円すい台の側面積は,次のようになります。

 円すい台の側面積=ウ×半径×2×3.14


 つまり,右図のアが軸のまわりを回転してできる円すい台の側面積は,

 円すい台の側面積=ウ×半径×2×3.14

 と表せることがわかりました。
 同じように考えると,右図において,
 ア1の回転でできる円すい台の側面積は 1×半径×2×3.14
 ア2の回転でできる円すい台の側面積は 2×半径×2×3.14
 ア3の回転でできる円すい台の側面積は 3×半径×2×3.14
 …………
 となります。

 これらの式をすべて加えると,

 ア1+ア2+ア3+… の回転でできる円すい台の側面積は,

 (ウ1+ウ2+ウ3+… )×半径×2×3.14

 ここで,ウ1+ウ2+ウ3+… は,半径×2 になりますから,

 ア1+ア2+ア3+… の回転でできる円すい台の側面積は,

 半径×2×半径×2×3.14=半径×半径×4×3.14

 もっと細かく分けてなめらかにすると,

 右図の赤い太線を回転させてできる立体の表面積は,

 半径×半径×4×3.14

 赤い太線を回転させてできる立体の表面積こそ,球の表面積ですから,

球の表面積

球の表面積 = 半径×半径×4×3.14
 となります。
(証明終)

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